食・旅行

2022.10.14

Hidden Charms of Korea_sool

江原道・江陵市にあるボドゥナムブルワリー

江原道・江陵市にあるボドゥナムブルワリー


[江陵・済州=ミン・イェジ、ユン・ヒヨン]
[写真=キム・シュンジュ]
[映像=イ・ジュンヨン]

垂木がそのまま見える高い天井。屋根の上にまた屋根がある、独特な韓屋(韓国の伝統家屋)の構造。コンクリート打ちっぱなしの壁、窓ガラス越しに見える発酵槽とオークバレル。江原道(カンウォンド)・江陵(カンヌン)市にある、クラフトビールブランド「ボドゥナム(ヤナギ)ブルワリー」の醸造所だ。この醸造所は1926年に設立され、2014年に廃業した「江陵濁酒工場」を引き受けて改装した後、2015年9月オープンした。

過去と現在、東洋と西洋、温かさと冷たさ。極端のものが調和しているユニークな空間と、ここでしか味わえないクラフトビールが口コミで有名になり、観光スポットとして愛されている。今年7月までの累積訪問者数は46万人に達する。

マッコリの醸造所を改装して作られたレストラン兼ブルワリー

マッコリの醸造所を改装して作られたレストラン兼ブルワリー


ここのビールの主な原料は、米、ショウブ、ソバ、菊の花、松葉、ジャガイモ、超糖トウモロコシ、柿、イチゴなど。すべて地域農家と提携して材料を調達している。

ボドゥナム・ブルワリーの李彰鎬(イ・チャンホ)代表は「韓国固有の伝統酒の材料と地域の食材を活用し、韓国ならではの風味と個性豊かなクラフトビールを造るという意志を持って営んでいる」都市、「ボドゥナム・ブルワリーのキーワードは、『食材探し』」と話した。

先月8月28日に行われた取材で李氏は、「今は夏に収穫した生のホップで造ったビールが味わえる時期」とし、秋にしか飲めない季節ビールを紹介した。2016年から江陵の農家で栽培しているホップを使ったビールだ。夏に収穫して秋夕(チュソク:お盆)の頃に季節ビールとして披露するが、生のホップからするさわやかな匂いが魅力的だ。



ボドゥナム・ブルワリーは、最近韓国で流行っているクラフトビールを代表する醸造所の一つ。クラフトビールは、小規模なビール醸造所が造る、多様で個性的なビールを意味する。

李氏は「ある外国人記者の『韓国ビールは北朝鮮の大同江(テドンガン)ビールよりまずい』という言葉は、もう10年前の話」とし、「現在、全国160以上のクラフトビール醸造所で2000種類以上の個性あふれるクラフトビールが開発され、販売されている」と強調した。

済州ビールが設けたビール文化の楽しめるスペース

済州ビールが設けたビール文化の楽しめるスペース


韓国のクラフトビール市場を活性化させたブランドは、2015年に設立された済州ビール。2020年現在、韓国クラフトビール市場で28.4%のシェアを占め、不動の1位を誇る。去年5月には、クラフトビールメーカーとしては初めて韓国取引所のコスダック(KOSDAQ)市場に上場した。

済州市・翰林邑にある済州ビールの醸造所。1階にはビールの生産施設が、2階には酒造り体験ができる文化スペースが、3階には済州ビールが楽しめるパブがある。2階のフロアに入ると、麦芽汁が発酵する香りが漂ってきた。ビールを造る生産施設にとどまらず、ビール文化を楽しめる体験スペースになっている。

最高マーケティング責任者(CMO)の権珍珠(クォン・ジンジュ)氏は「韓国のビール市場に『新しいビール文化』を作るのが済州ビールのビジョン」と説明した。訪問者は醸造施設を見学すると同時に、2階に設けられているラボコンセプトの文化体験スペースでビールの醸造原理を学び、ビールの原材料を味わえる体験ができる。

済州ビールが一日7~8回にかけて運営する12人ブルワリーツアーは、参加率が97~98%に達する。今年5月までの訪問者数は15万人。

済州ビールでマーケティングを担当する全彬(チョン・ビン)氏は、「済州ビールは、様々な材料を利用して個性的なクラフト市場に参入し、韓国ビール文化の多様性確保に貢献したい」と話した。このため、韓国の大企業が注力してきたすっきり、ごくごく飲めるラガービールではなく、豊かな味わいと独特でフルーティーな香りがあるエールビールに注目している。また、材料もオプンチアや牛島産のナッツなど、地域のものを使う。

権CMOは「済州ビールの目標は、『ビールグルメ文化』をリードすること」と話した。ワインを楽しみ、食べ物とのペアリングを慎重に考えるのと同じように、ビールを飲む行為そのものを楽しむ、一つの文化として位置づけするのを目指すという。また、「ビールを開発する時から合う料理を念頭に置く」とし、「韓国料理に合う韓国ビールを造りたい」と話した。

その上で「みかんの皮を副材料とした済州ウィートエールには、サバの刺身やトムベゴギ(豚のゆで肉をまな板の上にのせたもの)、コギグクス(豚肉をゆでて、ゆで汁に麺を入れたもの)などの脂っぽい済州の郷土料理が合う。済州ペルロンエールはキムチチヂミやコルベンイ・ムチム(ツブガイの和え物)といった辛いものが合う。また、済州ゴモンエールは、風味の強い肉類の食べ物とよく合う」と、相性のよいビールと料理の組み合わせを教えてくれた。




韓国クラフトビール協会によると、韓国のクラフトビールメーカーは2014年54カ所から2021年には163カ所へと、約3倍増となった。売上高は、2013年の93億ウォン(約9億4200万円)から、2021年に1520億ウォン(約154億円)へと跳ねあがった。8年で15倍以上の成長を記録したのだ。2023年には3700億ウォン(約374億7291万円)になる見通しだ。

李氏は「クラフトビールのブランドは、大企業のビールと輸入ビールの間で差別化を図るための取り組みと激しい競争をしながら産業の規模を拡大させている」とし、「今後さらにおいしい韓国のクラフトビールが開発されるだろう」とした。

jesimin@korea.kr

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