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2024.05.03

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99年の伝統を誇る「東春サーカス」の公演を見るために、大阜島にある常設公演場の前に列を並んでいる観客の様子

99年の伝統を誇る「東春サーカス」の公演を見るために、大阜島にある常設公演場の前に列を並んでいる観客の様子


[コ・ヒョンチョン]
[写真=東春サーカス団]

「社会的企業である『東春サーカス』は、国と国民に救われたのです」
「家族みんなで楽しめるように、演出したサーカスです」


1925年に創立され、99年の伝統を誇る「東春サーカス団」。その長い年月の間、数多くの厳しさを乗り越えながらサーカス団を守り抜いてきたパク・セファン団長。

1925年に創立され、99年の伝統を誇る「東春サーカス団」。その長い年月の間、数多くの厳しさを乗り越えながらサーカス団を守り抜いてきたパク・セファン団長。


韓国で唯一の、そして最後のサーカス団がある。1925年に創立され、50~80年代に全盛期を迎えた「東春サーカス団」である。テレビなどがまだ普及していなかった当時には、サーカスがほぼ唯一の楽しみであり、祭りの場でもあった。「東春サーカス」は新派演劇や歌手のショー、風物(プンムル)・国楽(クガク)・唱(チャン)などの韓国の伝統音楽、さらにマジックやアクロバットの技を盛り込んだ総合芸術公演(舞台)で庶民に笑いや感動を届けた。

波乱万丈の日々を乗り越え、80年の人生をかけて「東春サーカス団」を守り抜いてきた朴世煥(パク・セファン)団長は次のように話した。「私たちのサーカスは、公演プログラムやテクニックの面において、芸術サーカスの代名詞である『シルク・ドゥ・ソレイユ』と比べても決して劣らない」


たった1人の観客でも来てくれれば、東春サーカス団は公演を続けるというパク団長。KOREA.netは24日、ソウル・禿山(ドクサン)洞のあるカフェで、パク団長にインタビューを行った。絶大な人気を誇った全盛期から、サーカス団が解散の危機を乗り越えるまで、東春サーカスの過去と現在、そして未来について語った。次はパク団長と交わした一問一答。

- 「東春サーカス」を見るには、 どこに行けばいいか。
「東春サーカス団」の常設公演場は京畿(キョンギ)道・安山(アンサン)市・大阜(テブ)島にある。公演場は冷暖房が完備されており、誰でも気軽に訪れ、楽しむことができる。また、公演場は、ペットも一緒に入ることができる。平日は1日2回、週末は1日3回公演があり、公演時間は約90分だ。詳細は「東春サーカス」のホームページ(http://www.circusdc.com)で確認できる。

- 「東春サーカス」の魅力は何か。
まず観覧客の立場からいうと、誰でも楽しむことができ、コストパフォーマンスも非常に良い。割引を適用すれば観覧料が1万~2万ウォン台だ。だからといって、手抜きをすることは決してない。「東春サーカス」はプログラムの構成に熱心だ。コロナ禍の時も休まず公演を続けてきた。生活が厳しい中でも、サーカスの楽しさや面白さがみんなの慰めにになると信じていたからだ。公演はとても直観的だ。誰でも理解しやすく、老若男女が共に楽しめる。両親を連れて子供と一緒に訪問する40代の観覧客が最も多いのもこの理由からだ。言語の壁もないので、外国人でも公演を満喫できる。

-最近の物価に比べて観覧料が安すぎるが、値上げしない理由は何か。
「東春サーカス」は、国や国民に救われたものだと考えている。だから、みんなに負担にならない価格で、気軽に楽しめるように、チケット代を安くしたかった。2009年11月に「東春サーカス」は最大の危機を迎えた。当時、公演関係者や俳優が40人余りに達したが、観客はわずか10人余りに過ぎなかった。財政的困難でサーカス団の解体を決めたということがメディアで報じられた。すると、「東春サーカス団を助けよう」という声が全国的に広がった。その後、文化観光部と雇用労働部の協議を経て、社会的企業としても指定されることになった。「東春サーカス団」を復活させようと家族や親戚、友達と一緒に公演場を訪れてくれた観客の方々は、今も忘れられない。

- サーカス人生でまだ叶えられていない夢があるか。
サーカスアカデミーと常設劇場を作ることだ。サーカスは総合芸術(アート)であるため、アクロバティックは体力、舞踊、大胆性などすべての力量を備えなければならない。8歳ぐらいから体系的なトレーニングを受けてこそ、14歳ぐらいに舞台に上がることができる。全盛期を迎えるのは15歳から20歳ぐらいだ。常設劇場も建てて、ソウルを訪れる外国人観光客に、見どころ満載の韓国のサーカスを披露したい。

-来年、創立100周年を迎えるが、何を企画しているか。
来年、国際サーカス大会を開く予定だ。中国、ロシアなど5カ国のサーカス団と共に全国各地で「世界サーカス・フェスティバル」を開催するために忙しい日々を送っている。子供の日を迎え、4・5日の2日間、ソウル・ノドゥル島で開かれる「ソウル・サーカス・フェスティバル2024」にも参加する。双鉄棒、サーカス・バレエ、空中サーカス、片手階段上り、リングなど多彩な技を無料で楽しめるチャンスだ。回転する鉄のタイヤの上を目隠ししたまま走る「生と死の車輪」も見られる。ぜひみんなで訪れて楽しんでいってほしい。

(左上から時計回りに)空中サーカス、片手階段上り、双鉄棒、サーカス・バレエ

(左上から時計回りに)空中サーカス、片手階段上り、双鉄棒、サーカス・バレエ


hjkoh@korea.kr