社会

2021.04.09

「海外文化弘報院」は1971年の開院以来、韓国を世界に広報するため、様々な取り組みを続けてきた。来年に開院50周年を迎えるに当たり、韓国政府がロシアや中央アジア諸国との協力を強化することを目指す「新北方政策」を掲げていることにあわせて、その国々の駐韓大使らから韓国との協力策を聞く特別連載を掲載する。第2回目の大使は、駐韓ウズベキスタン大使館のビタリ・フェン(Vitali V.Fen)大使。


Vitali V. Fen, ambassador of Uzbekistan to Korea

駐韓ウズベキスタン大使館のビタリ・フェン大使=駐韓ウズベキスタン大使館


[ユン・ソジョン、オ・ヒョヌ、イ・ギョンミ]


3月30日に書面で行われたコリアネットのインタビューで、フェン大使は、「自由貿易協定(FTA)の早期締結を希望する文在寅(ムン・ジェイン)大統領の提案は、韓国とウズベキスタンの経済交易の発展や韓国企業の投資誘致、協力の深化に向けた新しい機会になるだろう」と明かした。

その上で、「韓国とウズベキスタンは、相互貿易の拡大という経済効果など、FTA協力と経済的妥当性、関税規制など、共同研究課題に関する議論・交渉を10回以上も行った」と述べた。

文大統領とウズベキスタンのシャフカット・ミルジヨーエフ大統領は今年1月28日、電話会談を行い、両国間におけるFTA交渉の開始を宣言した。

フェン大使は「新型コロナウイルスのパンデミックの中でも両国は去年、タシュケントの児童専門病院、フェルガナ州の韓国国際大学の建立事業を成功させた」とし、「ウズベキスタンが新型コロナウイルスを克服できるよう、手を差し伸べてくれた韓国政府に感謝の意を表し、保健・製薬分野などの協力拡大を希望する」と述べた。

また、「気候変動への対応、有害ガス排出量の減縮、再生エネルギーの拡大、低炭素経済への転換を目指す韓国の『グリーン・ニューディール』政策も支持する」ということも明らかにした。

フェン大使は、1995年から1999年まで代理大使を、1999年から2013年まで駐韓大使を務めた。2014年には韓国政府から修交勲章を受賞した。その後、2017年にふたたび駐韓ウズベキスタン大使として赴任した。

以下は一問一答。

―パンデミック下、去年における両国間の協力・交流は。


難しいところもあったが、両国間の「特別戦略的パートナー関係」は発展してきている。去年4月と10月に行われた両首脳間の電話で、新型コロナの克服に向けた協力や、経済・貿易分野における協力策について議論した。ミルジヨーエフ大統領は去年10月30日にソウルで開かれた「第2回北方フォーラム」に招待され、コロナ対応や経済発展策をテーマにテレビ演説を行った。新型コロナウイルスの大流行以来、初めて訪韓した外国代表団がウズベキスタンの代表団であったことも注目してほしい。これは、両国の関係を再確認し、発展させていくための努力の一環である。

新型コロナウイルス防疫に関しては、ウズベキスタンのコロナ克服のために力を貸してくれた韓国に感謝している。高麗(コリョ)大学予防医学科のチェ・ジェウク教授をはじめとする韓国の専門家や、ウズベキスタン現地の医療スタッフらが、韓国の防疫ノウハウを共有し、ウズベキスタン政府は去年9月、チェ教授に第1級の保健勲章を授与した。

両国は去年、タシケントにある児童専門病院とフェルガナ州の韓国国際大学の建立事業を完了し、これを受け約1千人の雇用が生まれた。韓国企業と進めているタシケント製薬クラスターの造成事業も順調に進んでいる。ウズベキスタンは今後、病気の診断システムやワクチン、血清の開発、国境検疫所施設および実験装備の現代化、韓国の医科大学との協力により現地の感染症専門医やウイルス専門家を養成するなど、保健・医療分野において韓国と協力していくことを希望する。

―両国間の協力体制の現況は。


韓国とウズベキスタンは1991年、正式に外交を樹立して以来、友好関係を発展させてきた。韓国はウズベキスタンにとって、主な貿易相手国の一つ。ウズベキスタン統計庁によると、両国間の貿易規模は、2019年に28億ドル、2020年に21億ドルを記録した。2018年に「韓国・ウズベキスタンノービザ協定」を締結してから、2019年にウズベキスタンを訪問した韓国人は3万6千人と、3割増となった。去年は新型コロナウイルスの状況下にも関わらず、7千人の韓国人がウズベキスタンを訪れた。現在、駐韓ウズベキスタン大使館は、 ウズベキスタン産の果物や野菜の韓国市場への参入に向け、韓国の農林畜産検疫本部と交渉中である。

―2019年、文大統領がウズベキスタンを国賓訪問した時、両首脳は教育と人材養成の重要性を特に強調した。両国間の教育分野での交流の状況は。


教育分野における協力もダイナミックに発展している。ウズベキスタンの大学は、韓国の45の機関と共に、科学分野の共同課題を研究している。仁荷(インハ)大学や富川(プチョン)大学などが、ウズベキスタンに分校を設立しており、韓国の他の大学分校も進出している。他の韓国の大学も分校を進めている。ウズベキスタンでは、韓国語や韓国文化に関心を持っている人が多いため、タシケントにある韓国語教育機関の世宗学堂も重要である。

―文大統領は今年、新年の挨拶で、ウズベキスタンとの自由貿易協定(FTA)締結への意志を示した。今の段階は。


韓国とウズベキスタンのFTAは、経済貿易の発展や韓国企業による投資の誘致、協力の強化に向けた新たなチャンスになるだろう。両国は相互貿易の拡大による経済効果など、FTA協力と経済的妥当性、関税規制など、共同研究課題に関する議論・交渉を、すでに10回以上も行った。

―ウズベキスタン政府は電力生産量の割合の相当部分を、新再生エネルギーに転換する長期計画を進めているが、そのことについては。


ウズベキスタン政府は、気候変動対応、低炭素経済への転換などを目指す、韓国の「グリーン・ニューディール」政策を支持する。ウズベキスタンは、韓国の優れた技術や経験を導入し、韓国政府の「新北方政策」の枠組みで、共同投資事業を実施する準備ができている。

―ウズベキスタンは1993年に行われた国連総会で、中央アジアにおける非核地帯の創設策を提案した。韓半島平和プロセスについて、ウズベキスタンはどう評価するか。


ウズベキスタンは独立以来、人道主義や平和精神に基づき、中央アジア諸国の利益や将来、安全のために努力している。中央アジアの平和と安定の維持・強化、持続可能な開発ができる安全地帯への転換は、ウズベキスタンが優先して進めている外交政策である。ウズベキスタンが、中央アジアにおける非核地帯の創設策を提案したことも国際社会の支持を得た。2014年5月、ニューヨークの国連本部では、国連が創設して初めて、米・英・仏・中・露の核保有5カ国が全会一致で中央アジア非核地帯条約の議定書に署名した。

ウズベキスタンは韓半島平和プロセスに関して、北朝鮮問題を解決し、韓半島の平和と安保の保障に向けた文大統領の政策を強く支持する。中央アジア非核地帯を提案した国として、韓国と北朝鮮の関係発展や地域統合を促す韓半島の非核化が早期に履行されることを願う。

Concert of Uzbekistan and Korean peoples' friendship

2019年4月、ウズベキスタンを国賓として訪問した文在寅大統領(右)とウズベキスタンのミルジヨーエフ大統領=ウズベキスタン大統領宮


arete@korea.kr