スポーツ

2014.01.28

現代は国の枠を超えて世界の人々が交流するグローバル時代だ。今や韓国の文化界やスポーツ界で活動する外国人は珍しくなくなった。特に、スポーツ界では韓国籍を取得した外国人選手が韓国代表として活躍しており、その数は今後さらに増える見通しだ。韓国に帰化し、韓国代表として活躍する選手は、国籍に関係なく韓国チームの勝利のためにベストを尽くしている。

アイスホッケーチーム「ハイ1(High1)」所属でカナダ出身のアイスホッケー選手ブライアン・ヤング(Brian Young)選手(28)とマイクル・スイフト(Michael Swift)選手(27)が韓国籍を取得した。法務省は、大韓体育会の推薦を受け、二人を「優秀人材」に認定し、韓国籍を与えたと21日に発表した。

Bryan Young (right) and Michael Swift joined the league of naturalized foreign athletes in Korea. (Photo courtesy of the Korea Ice Hockey Association)

韓国籍を取得したヤング選手(DF:右)とスイフト選手(FW:左)(写真提供:大韓アイスホッケー協会)


ヤング選手は身長186センチ、体重86キロのがっちりとした体格を生かしたパワーあふれるプレーが特徴だ。北米のプロアイスホッケーリーグ「NHL」の「エドモントン・オイラーズ(Edmonton Oilers)」の選手として17試合に出場したことがあり、攻守のバランスのとれた選手と評価されている。韓国、中国、日本が参加するアジアリーグ(Asia League Ice Hockey)で、今シーズンは27試合に出場し、7ゴール、13アシストを記録している。スイフト選手もアジアリーグ最高のエースとして活躍している。昨シーズンはアジアリーグ40試合で39ゴール、58アシスト、今シーズンも28試合で31ゴール、22アシストを記録し、得点王のトップを走っている。

二人よりも一足先に2013年3月に韓国に帰化したブロック・ラダンスキー(Brock Radunske)選手(31)は、アイスホッケー韓国代表チームに入った外国人選手第1号で、彼もカナダ出身だ。青い目の韓国代表選手ラダンスキー選手は、NHLの下部リーグ「AHL」の出身で、2008年に安養ハンラに入団し、韓国でプレーしている。

Brock Radunske, a naturalized Korean, is a member of the national team. (Photo: Yonhap News)

韓国籍を取得したアイスホッケー韓国代表のラダンスキー選手(写真提供:連合ニュース)


アイスホッケー韓国代表チームは、2015年に高陽市で行われるアイスホッケー世界選手権ディビジョン1のグループ Aでオーストリア、スロベニア、ハンガリー、ウクライナ、日本と対戦する。

韓国に帰化したスポーツ選手が韓国代表チームで活躍しているのは、アイスホッケーにとどまらず、バスケットボールやバレーボール、卓球、ショートトラックなど多岐にわたる。

ショートトラックでは華僑3世として韓国籍を取得したコン・サンジョン選手(18)が女子リレーの代表としてソチ冬季五輪に出場する。スタートダッシュの爆発的なスピードが自慢のコン選手は、巧みなレース運びと瞬時の判断力が強みだ。韓国に帰化した選手が韓国代表として冬季五輪に出場するのはコン選手が初めてだ。

バスケットボールでは、2011年に韓国籍を取得したムン・テジョン(Jarod Stevenson)選手(39、LGセイカーズ)とムン・テヨン(Gregory Stevenson)選手(35、モービス・フィバス)の兄弟が代表的だ。韓国人の母親と米国人の父親の間に生まれた二人は、母親の姓に名前をつけた韓国名を名乗っている。ムン・テジョン選手は、2011年のアジアバスケット選手権大会で、「エース」として韓国代表チームの3位躍進に大きく貢献した。

Moon Tae-jong (right) dribbles past his younger brother, Moon Tae-young, during a basketball game in Ulsan on January 21. (Photo: Yonhap News)

21日に蔚山市で行われた韓国プロバスケットボールの試合で、弟のムン・テヨン選手(左)をドリブルでかわす兄のムン・テジョン選手(写真提供:連合ニュース)


韓国人の母親と米国人の父親の間に生まれたイ・スンジュン(Eric Sandrin)選手(36、原州東部)とイ・ドンジュン(Daniel Sandrin)選手(34、ソウル・サムスン)の兄弟も、韓国プロバスケットボールを代表するスターだ。イ・スンジュン選手は、2010年の広州アジア大会で初めて韓国代表チームに抜擢され、準優勝に貢献した。ロンドン五輪最終予選に出場したイ選手は、ベネズエラ・カラカスで行われたドミニカ共和国との試合で、21得点、6リバウンドの活躍を見せた。

Lee Seung-joon (left) plays defense against his younger brother, Lee Dong-joon, during a March 2013 basketball game last season at Jamsil Indoor Stadium in Seoul. (Photo: Yonhap News)

2013年3月にソウルの蠶室室内体育館で行われた韓国プロバスケットボール2012~2013シーズンの試合で、弟のイ・ドンジュン選手(右)をディフェンスする兄のイ・スンジュン選手(写真提供:連合ニュース)


韓国に帰化した最初の外国人選手は、プロバレーボールのフ・インジョン選手(40、水原KEPCO)だ。韓国籍を取得する前は華僑だったフ選手は、10年以上にわたって韓国バレーボールチームのエースとして活躍し、プロバレーボールの最年長選手としてコートを駆け回っている。

卓球では、2008年北京五輪の銅メダリストのタン・イェソ選手(33、大韓航空)や2010年広州アジア競技大会銀メダリストのソク・ハジョン選手(29、大韓航空)などが韓国に帰化した外国人選手だ。タン選手は、2012年にドルトムントで行われた世界卓球選手権大会の女子団体戦で銅メダルを獲得し、2012年ロンドン五輪ではソク選手とともに卓球女子代表チームに選ばれた。中国のユース代表出身のチョン・ジヒ選手(22、ポスコエネルギー)は、2014年仁川アジア競技大会の最終選考会で12人の候補の一人に選ばれた。

Dang Ye-seo (left) and Seok Ha-jung face off against the Singaporean team in the women’s doubles table tennis third place match at the London Excel Arena during the Summer Olympics in August 2012. (Photo: Yonhap News)

2012年8月に英国ロンドンのアクセルアレーナで行われたロンドン五輪女子卓球団体3位決定戦で、韓国のタン選手(左)とソク選手のペアがシンガポールのチームと対戦している(写真提供:連合ニュース)


これまでに韓国代表は輩出されていないが、青い目の韓国人選手が最初に登場した競技はサッカーだ。1992年に天安一和に入団したロシア出身のヴァレリ・サリチェフ(Valeri Sarychev)氏(44)は、2000年に韓国に帰化し、「シン・イソン」に改名した。シン氏は現在、釜山アイパークのゴールキーパーコーチを務めている。1996年からKリーグで活躍したデニス・ラクティオノフ(Denis Laktionov)選手(37)も2003年に韓国に帰化し、当時所属していたチーム名(城南一和)にあやかって「イ・ソンナム(李城南)」に改名した。その後、ロシアでプレーイングコーチを務めた彼は、2013年に再び韓国に戻り、江原FCの選手として活躍した。昨年を最後に現役生活にピリオドを打ったイ氏は現在、水原のユースチームのコーチを務めている。クロアチア出身のヤセンコ・サビトビッチ(Jasenko Sabitovic)氏(41)は、2004年に「イ・サビック」に改名した。イ選手は引退後も韓国にとどまり、東欧の選手を韓国のチームにスカウトするエージェントとして活動している 。

先日、韓国籍を取得したブライアン・ヤング選手とマイクル・スイフト選手が、コリアネットのインタビューに応じた。

マイクル・スイフト選手とのインタビュー

1.韓国に来たのはいつ

2011年8月に韓国に来た。アイスホッケーチーム「ハイ1」に所属するいとこのブライアン・ヤング選手に、同年夏に韓国でプレーしてみないかと誘われた。米国のアイスホッケーチームとの契約が満了になるのを機に韓国のチームでプレーすることを決心した。

2.韓国に帰化しようと思った動機は

韓国でプレーしてほぼ3年になる。当初は韓国について全く知らなかったが、韓国での暮らしがとても楽しいので、できるだけ長く韓国にいたいし、韓国が自分の故郷だと思っている。私は1年のうち8カ月を韓国で過ごしている。韓国のファンが多くなり、韓国人の友だちもたくさんできた。

3.アイスホッケー韓国代表としてプレーすることについてどう思うか

韓国代表として国際大会に出場できるなら、これ以上光栄なことはない。2018年平昌冬季五輪に向けて掲げている韓国の目標を達成するための力になりたい。韓国のアイスホッケーの世界ランキングを上げたい。

4.韓国でプレーした印象は

これまでは韓国での生活が夢の中のことのようだったが、年を重ねるごとに少しずつ落ち着いてきて、今はもうすっかり慣れた。毎日韓国語の勉強をしているので、だいぶ韓国語が上手になった。韓国のアイスホッケーは徐々に激しくなってきた。韓国のアイスホッケーのレベルが少しずつ上向いている証拠だ。

5.韓国での生活で特に気に入っていることは

カルビがとてもおいしい。韓国には飲食店とカフェがたくさんある。一日中外で仲間と過ごすことができるのが良い。ボーリング場やゴルフ場、野球練習場など多様な施設がある。野球とバスケットボールの試合を観戦しに行ったこともある。 毎日、韓国での生活を楽しんで学ぶことを心がけている。

6.今後の計画は

最大の目標は2018年平昌冬季五輪だ。アジアリーグでも良い成績を収めたい。何よりも大事なのは、4年後の冬季五輪に向けた準備だ。韓国には、ぜひ五輪の出場権を獲得してほしい。

Bryan Young (left) and Michael Swift (Photo courtesy of the Korea Ice Hockey Association)

ヤング選手(左)とスイフト選手(右)(写真提供:大韓アイスホッケー協会)



ブライアン・ヤング選手とのインタビュー

1.韓国に来たのはいつ

韓国のアイスホッケーチーム「ハイ1」にスカウトされ、2010年8月に韓国に来た。

2.韓国に帰化しようと思った動機は

韓国のアイスホッケーの発展に貢献できる良い機会だと思ったし、韓国代表として五輪に出場したかったからだ。

3.アイスホッケー韓国代表としてプレーすることについてどう思うか

韓国代表として国際大会に出場できるなら、これ以上光栄なことはないと思う。

4.韓国でプレーした印象は

韓国での生活は良い経験になった。旅行することで多くの素敵な人と出会えたし、韓国文化を楽しく学ぶことができた。

5.韓国での生活で特に気に入っていることは

最初の数年間は、妻と一緒にソウルの寺や宮廷などいろいろな名所を観光した。友だちもたくさんできた。ソウルで仲間たちと一緒に過ごすことがとても楽しい。

6.今後の計画は

今後も韓国のアイスホッケーチームでプレーしたい。韓国にはとても才能豊かな選手が多く、今後の国際大会での活躍が期待できる。2018年平昌冬季五輪では、ぜひ出場権を獲得したい。

コリアネット イム・ジェオン(林在彦)記者
jun2@korea.kr