名誉記者団

2023.06.30

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【文=吉岡香織】

5月24日〜26日に開催された「KOREA.net名誉記者団 水産物 モクパン ファミリーツアー」第1回と第2回の報告はいかがでしたでしょうか?今回は最終回、3日目の報告と、南海へのアクセス方法や宿泊について紹介したいと思います。

・卸売市場での競り見学

南海郡水協卸売市場。船の形をしている=吉岡香織撮影

南海郡水協卸売市場。船の形をしている=吉岡香織撮影



3日目は、「남해군수협 창선활어 위판장(南海郡水協 昌善活魚卸売市場)」での競りの見学からスタート。遠くから見たら卸売市場とは思えないような、船の形をしたとても可愛い建物。宝の島の宝船ですね。海沿いの街で育ちましたが魚の卸売市場の競りを見たことがなく初めての体験。韓国ドラマ「私たちのブルース」(ドラマの舞台は済州島ですが)を見て卸売市場に関心を持った方も多いのではないでしょうか?

記者団が見学した競りは、タコ、シャコ、カニ、ホヤ、ナマコ、貝類(アワビ、サザエ、灰貝、つぶ貝、タイラギ)など。たくさんの買い手の方々が、競り人の周りに集まり、手の合図によって値段などが決まっていき、その間ほんの数秒で品々が次々にはけていき、とても活気と迫力がありました。常に海水が循環しているというたくさんの大きな水槽の向こう(見学した競りの反対側)には、舌平目、鯛、エイなど水揚げされた魚がたくさん並んでいました。

(左)記者団の見学した競りの行われた貝類。殻のままがほとんどだったが、その場で石で叩いて殻を剥いたものも。(右)市場を挟んで反対側に並べられていた様々な魚=吉岡香織撮影

(左)記者団の見学した競りの行われた貝類。殻のままがほとんどだったが、その場で石で叩いて殻を剥いたものも。(右)市場を挟んで反対側に並べられていた様々な魚=吉岡香織撮影



南海郡庁の方は、南海には大きな工場などがないため海が汚染されず本当に綺麗で、魚の味も格別なので、ぜひ世界に美味しさを発信していきたいとおっしゃっていました。


・韓国「海の日」記念行事参加で学んだ海洋環境を守る努力と大切さ

韓国海洋水産部によると「毎年5月31日である『海の日』は、1994年国際連合海洋法協約発効を契機に国民に海洋の重要性を知らせ、進取的な海洋開拓精神を鼓吹するために1996年指定された国家記念日」で、2週間くらいイベントが続くのだそうです。ちょうど5月の最終日曜日である28日には、「海の日記念行事」が開かれていて、私たちも参加しました。南海郡の副郡守さんをはじめ漁協関係の方々が参列し、式典後はナマコや縞鯛の稚魚を一緒に放流しました。

終会後にはみなさん海辺の清掃をされていて、式典の登壇者挨拶でも「誰もが、海は自分たちや、自分の世代だけのものではない、海洋環境を守り後世に美しい海を残していかなくてはならない」というお話をされていたのが印象的でした。

南海の「海の日記念行事」に参加したKOREA.net名誉記者団も魚の稚魚を放流=キム・スンジュ撮影

南海の「海の日記念行事」に参加したKOREA.net名誉記者団も魚の稚魚を放流=キム・スンジュ撮影



その時に私の頭に浮かんだのは、福島第一原発事故で発生した汚染水の海洋投棄のことでした。南海郡庁の方に尋ねたところ、やはり漁業関係者のみなさんは、自分たちに(良くない)影響があるのではないかと心配されているとのことでした。トリチウムを含む31核種の放射性物質を30年以上にわたって海洋放出することには、日本の漁業団体も断固反対しています。しかし日本政府は、専門家による、モルタル固化して地上に保管するなどの「放出しない代替案」には目を向けず、夏頃に放出を開始する姿勢を崩していません。

海はゴミ箱ではありませんし、目に見えないからといって海に捨てていいわけではないと思います。目に見える海辺のゴミと違い、拾って清掃することはできないですし、放出すればするほど蓄積しますよね。海は世界中と繋がっていて、放射性物質に国境はありません。世界の、特に韓国をはじめアジアの人々にとって不安と悪影響しか及ぼさない方法ではなく、これ以上海を汚染しない方法を選択するよう、放出をする側である日本人として、一人ひとりが関心を持って取り組んでいかなければと、とても深く考えさせられました。


・ふわふわの「갈치조림(カルチチョリム) 太刀魚の煮付け」と「南海伝統市場」

よく煮込まれて太刀魚にしっかりと味が染み込んだ「カルチチョリム」。「チャング食堂」という店名のチャングとは韓国では「クレヨンしんちゃん」のこと。社長のお子さんが好きだったので店名にしたそうです=吉岡香織撮影

よく煮込まれて太刀魚にしっかりと味が染み込んだ「カルチチョリム」。「チャング食堂」という店名のチャングとは韓国では「クレヨンしんちゃん」のこと。社長のお子さんが好きだったので店名にしたそうです=吉岡香織撮影



南海での最後の食事は、「갈치조림(太刀魚の煮付け)」でした。小骨は多いですが、お肉がとてもふわふわ。太刀魚の味がタンパクだからこそなのか?コクのある煮汁がよく身に染み込んでいて美味しく、ご飯に良く合います。旅行中に何度か食べたミョルチ(カタクチイワシ)刺身和えとはまた違う、みずみずしい初めての食感の魚の刺身和えは、なんと小さなエイでした。さっと茹でたイカも味が深くて柔らかかったです。

食後は「南海伝統市場」を見学。さすが魚売り場が本当に魅力的。ぴちぴちと元気に飛び跳ねる姿や、食べられるのだろうか?という不思議な見た目の魚を見るのも楽しく、お店の方の魚捌きにも感動しました。

伝統市場では魚店がずらりと並んでいた。後ろのまな板でお好みに捌いてくれる=吉岡香織撮影

伝統市場では魚店がずらりと並んでいた。後ろのまな板でお好みに捌いてくれる=吉岡香織撮影



・「宝の島」南海への行き方


今回は素晴らしいツアーに参加させていただき、南海の様々な名所や名店を巡ることができました。でも、いざ自分で旅行をするとなると、交通手段や宿泊が気になります。訪問は、韓国語が少し出来ないと難しいかもしれませんが、これを機に、「旅行に必要な韓国語」講座などで学んでみるのはいかがでしょうか。ソウルの観光案内所にも、南海のパンフレットが置いてありましたので、見つけたら手に取ってみてください。南海人気が日本でも高まり、たくさんのツアーなどができていくとうれしいです。

【南海郡庁ウェブサイト】は、言語「日本語」を選択することができます。南海内の観光は、タクシーを半日・1日で貸し切って巡る「タクシー観光ガイド」が便利そうです。私たちの今回のツアーでは訪れていない名所もありますのでぜひサイトをご覧になってみてください。
https://www.namhae.go.kr/tour/jpn.web

しかし、まずは、南海までどうやって行くか、ですよね。その場合は、韓国語の南海郡庁のサイトを、ブラウザの日本語翻訳で見てみてください。南海文化観光というカテゴリー(写真の赤丸部分)をクリックした後、下にスクロールしていくと、南海へのアクセスなどが記されています。釜山や順天からが近いですが、ソウルからもバスがあります。
https://www.namhae.go.kr/

【ホテル探し】南海郡庁のウェブサイトにもホテル紹介がありますが、大手のホテル検索サイトで「南海」「南海、韓国」などと検索するとたくさんの宿泊施設が出てきます。

【KOREA.NETの南海郡旅行記】2022年に掲載されている記事「[Hidden Charms of Korea 慶南・南海郡] ③南海郡旅行記」に、公共交通機関(バス)やタクシー観光のことが紹介されています。
https://japanese.korea.net/NewsFocus/FoodTravel/view?articleId=214038

南海郡庁の日本語ウェブサイト

南海郡庁の日本語ウェブサイト



・宝の島、南海へ「オシダ」(来てね「オセヨ」の方言)

「KOREA.net名誉記者団 水産物 モクパン ファミリーツアー」ということで、たくさんの南海の「美食」、海の幸を堪能しました。食べるだけではなく、原始漁業「竹防簾(チュッパンニョム)」、卸売市場、伝統市場と、私たちの口に運ばれるまでの流通過程を知ることもできました。都会の食事では、お店、お弁当、宅配などで出来上がった状態を見ることが多く、「あって当たり前」になってしまいがちです。食事が出来るまでには、魚を獲り、仲介され、市場で買い、料理をしてくれる人がいるという、本当に様々な過程と人々の努力があって、美味しい食事を食べられることがいかに有難いことなのかを、地方に旅したからこそ感じ、心に沁みました。

また、食はもちろん、南海の豊かな自然、風光明媚な風景、地元の人々の笑顔など全てが美しくて、ツアー後も記者団メンバーで「またすぐ南海に行きたい」と連絡を取り合っているほどです。前記事で紹介したドイツ村や、タレンイ村のように、南海にはヨーロッパを感じる風景がたくさんあり、ヨットクルーズもできるなど、優雅な旅を楽しみたい場合にもぴったりだと思います。

また、南海でお店を営んでいる方が日本人なの?と声をかけてくれ、親族が日本にいるというお話を何度か聞きました。なかには、植民地時代に日本に行くことになり、帰国できず暮らしたというお話もありました。南海や釜山などは韓半島の中でも植民地支配の影響が大きかった地域で、日本語を話せる老人も多いのだそうです。日本人が日本の加害の歴史をきちんと学ぶことの重要性も改めて考えさせられました。

たくさんの「南海グッズ」をいただき嬉しい。中央は魚醤。その左の南海パスポート(スタンプ帳)を持ってまた南海旅行をしたい。右下は南海副郡守さんからいただいたミョルチの煮干し。あまりの美味しさについつい食べ続けてしまう。2024年にはミョルチ祝典が南海で開催されるそう=吉岡香織撮影

たくさんの「南海グッズ」をいただき嬉しい。中央は魚醤。その左の南海パスポート(スタンプ帳)を持ってまた南海旅行をしたい。右下は南海副郡守さんからいただいたミョルチの煮干し。あまりの美味しさについつい食べ続けてしまう。2024年にはミョルチ祝典が南海で開催されるそう=吉岡香織撮影



そして、このツアーを案内してくださった南海郡庁の皆様と各名所の解説者のみなさま、美味しいお食事を作ってくださった食堂のみなさま、KOREA.netのスタッフの皆様にも、貴重な経験をさせていただき心から感謝します。

そんな私の感想ですが、まずはみなさん何も考えず、ただただ美味しい水産物と観光地を満喫しに、2023~2024年の韓国訪問の年、ぜひ南海を訪問してみていただけたらと、勝手に観光大使気分で、心からおすすめします。

*この記事は、日本のKOREA.net名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

km137426@korea.kr

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